おめんたいたい!けんしくんです!
世界で活躍した野球のダルビッシュ投手。
(そろそろ名前を知らない子も出てくる時代だろう)
彼は小学生のあるとき、大事な大会の決勝を数日後に控えていた。
よりによって投球の調子が崩れ、大変な不安を抱えているなか、手を差し伸べたのが僕だった。
という夢。
僕は野球に精通し、彼の心を支えるよきお兄ちゃん役として近所に住んでいた。
不調な彼に対して、僕はこうアドバイスした。
「君は最高の選手だ。調子が悪かったとしても君の球を打てる子はいないよ。たとえバットに当てたとしても凡打さ」
ちなみに息子達には、こんな素敵な言葉のプレゼントをしたことはない。
ダルビッシュ投手は特別だった。
大会当日、僕は仕事で大会の応援に行けなかった。
そのまま彼と彼のチームに会うことができずに、一年が過ぎた。
一年後、テレビで活躍が報じられる少年ダルビッシュ。
彼は取材インタビューでこう答えた。
「あのとき、けんしくんさんのアドバイスがなければ今の僕はいません」
そして、こう続けた。
「あと、○○さんも」
「そして、XX先輩にも感謝しております」
「何より☆☆監督のご指導のもと・・・」
彼は謙虚だったが、ある意味ではすごく浮気性だった。
野球に限らず、ほとんどのスポーツでは数名の指導者から教育を受ける。
一番お世話になった先生は?
この質問ほど難しいものはない。
特に「我以外皆師(われいがいみなし)」といわれるように、剣道では先生以外にも相手を敬う文化がある。
僕も一番お世話になった先生という質問に対して答えることができないままいる。
「あの人を目指してよかった」と思ってもらえる剣士になることは、きっと指導者にとって本望なことだろう。